HOME小説|月を宿す娘〜王の系譜〜


<戻る

第1章(1)>

  ■序章



「この国の王の血となってこの世界を見守ろう」
 とアドゥリアは2人に告げた。
 金の髪は太陽のごとく輝き、黄金の瞳は空をうつしていた。
「私はうまれたふたつの国のために、かの北の地より祈りを捧げましょう。大地へと還り、世界が終わるまでずっと」
 そう言ったのは銀の髪と瞳を持つクディルだった。
 まるで月の光をそのまま移したようなやさしい目は、北を向き郷愁の色をたたえていた。
「……では、私は身体を持ち続け、世界が終わるまでこの国とアドゥリアの国、リザリィの行く末を見守ろう。国は、子が継ぐであろう」
 最後に口を開いたのはフィエールだった。
 彼の髪と瞳は、この世のどんな色も飲み込んでしまいそうなほどの闇をまとっていた。


 3人の神はこの世界に身を捧げた。
 アドゥリアは子の血に全てを託し、人として死をむかえた。
 クディルは北の聖地にて大地に身をゆだね、永遠の眠りについた。
 フィエールは子が国を継いだのち、どこへとなく行方をくらませた。
――この地のどこかで息づき、私たちを護り続けるために。



『新リザリィ紀創世譚』訳文 終章より





次>




<戻る


HOME小説




UPDATE:2005/08/07

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送