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眠る記憶

 

第4章 回想(1)  〜蒼・ラス・シオン〜






ここは、ローレル?
あたし、まさか空飛んでる!?
なんで??
・・・・・・。
下の方に見えるのはシオンとシュンラン?
すごい笑顔。
幸せだったんだ、二人で過ごしていた時間は本当に。
どうしてその幸せは終わったんだっけ?



なんだか体が急に軽くなった。
シオンの体に吸い寄せられている。








「大丈夫か? 体の方は」
シュンランが心配そうに私を覗き込む。
「病気じゃないんだから平気だよ」
私は満面の笑みを浮かべる。
だってすごく幸せなんだもの。
こんなに幸せなことがあるなんて、天空宮にいたら気づけなかった。
サラジュさまにはホントに感謝してる。
私は幸せになるために生まれた、そう言ってくれた。
今新しい家族がこの世に生まれようとしている。
私とシュンランの二人の大切な結晶。

本当に幸せ。
幸せ過ぎて少し怖いくらい・・・。

「シオン」
「何? どうしたの?」
急に真剣な顔になってシュンランが私の方を見つめる。
「オレ、すごく幸せだ。こうしてシオンといられて・・・。ただ、来世でシオンを転生させてあげられないのが辛いけど・・・」
シュンラン・・・。
「私もすごく幸せ。・・・シュンラン、私来世なんていらないよ。現世でこうしてシュンランと一緒にいれるだけで何千回生まれ変わることよりも幸せだから」
ホントに私は幸せ者だよ。
何度生まれ変わってもシュンランと一緒にいられなかったら意味がないから。
「シオン・・・ありがとう」
シュンランはそう言いながら、私を抱き寄せた。
お礼を言いたいのは私の方だよ、シュンラン。
私が今こんなに自由で幸せなのは、シュンラン、そしてサラジュさまのおかげ。
二人がいなかったら、私は何も知らずに過ごしていた。
なんの価値もないただの神を成す道具として・・・。
「目、色が落ちたな。本当はこんな目薬なんかしなくても歩けたらいいんだけど・・・」
蒼い目を持つ人間が天空宮の外にいるのは、新しい伴侶が生まれてから迎えがくるたった10日間。
私が、そのまま歩いていたらすぐに見つかってしまう。
今人々の間ではオシャレの道具として、目の色を5〜6時間変えられる目薬が売っている。
最近の若者の流行らしくて、簡単に手に入るものをシュンランが買ってきてくれたので外に出るときはそれを使っている。
シュンランは優しいから、私が目薬を指しているの事にも罪悪感を感じているみたい。
「気にしなくていいのに。私楽しいよ、流行するのもわかる」
私は笑顔でそう返事した。
シュンランと一緒にいられるなら、こんなこと本当になんでもなかった。
「明日検査だよな。朝早いから今日は寝ようか」
「うん、楽しみ。おやすみなさい」
シュンランが私にそっとキスをしてくれた。
この幸せが続くなら、来世なんていらない。
だから、どうかこの幸せを誰も奪わないで・・・。







「順調ですよ、でもまだ安定期に入っていませんから十分注意してくださいね。お父さんも奥様の体のこと労わってあげてくださいね」
お医者さまが笑顔でそう言ってくれた。
「ありがとうございます! またよろしくお願いします」
私達の赤ちゃんが順調に育っている。
嬉しい!!
シュンランが私の頭を撫でながら肩で抱きしめてくれた。
なぜか幸せすぎて涙が溢れてきた。
「どうした? 体調悪い?」
シュンランが心配した顔をしている。
だから病気じゃないのに。
なんだかシュンランのことがすごく可愛く思える。
頼りになる人なのに、こんな風に表情をコロコロ変える姿はすごく可愛い。
泣きながら笑ってしまった。
「・・・・・?」
シュンランが不思議そうな顔をしている。
今度は私がシュンランを抱きしめた。
なんでかな。
赤ちゃんが私の中に宿ってから、人をいとおしいと思えることがわかった。
『愛』っていう言葉よりもっともっと深い。
側で大切に育てていきたいって思える不思議な感情。
シュンランに対してもすごくいとおしく思える。
前はすごく好きで、側にいたいって思っていたけど今は少し違う。
シュンランを守ってあげたい。
特別な力は何もないけど、それでもシュンランとこの赤ちゃんを守りたい。
彼らを傷つけるすべての物から守りたい。
そんな感情。
シュンランに出会えなかったら、きっと一生こんな気持ち知らないで過ごしていた。
「シオン・・・愛してるよ」
黙って私に抱きしめられていたシュンランが突然そう言った。
「私も・・・・ずっと一緒にいようね」
私達は見つめあって抱きしめあった。







「蒼・ラス・シオンさんとシス・レン・シュンランさん・・・・・ですね?」
突然後ろからそう呼び止められた。
!!
気づかないフリをしてそのまま二人でそのまま歩き続ける。
「止まりなさい、手荒なことをしなくてはいけなくなります」
シュンランは私をぎゅっと抱きしめた。
「逃げるんだ、オレの力でこの程度のクラフトならなんとかなる」
そう耳打ちしてきた。
私は小さく頷いた。
シュンランは時間を止めた。
私と二人で天空宮を出た時のように、走った。
「止まりなさい」
!!
シュンランの力の中で動ける人・・・・。
それはシュンラン以外のクラフトにはいないはず。
動けるのは・・・・・。
5大神だけ・・・・・。
誰!?





 

 

 

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